エジプト映画 「敷物と掛布」
引き続き、イスラーム映画祭で「敷物と掛布」を見た。
2011年、「アラブの春」の革命の時、都市機能が麻痺し、反政府デモで混乱する中、刑務所の扉が開かれた、という場面から始まる。友人とともに刑務所を脱出した男が主人公である。
と、ここまでは簡単なのだが、実は筋を追うのが難しい映画だ。セリフというセリフはほとんどなく、とかく無口な男の視点をカメラは追う。男はどうやら貴重な映像を持っているらしい。革命の時の”真実”を描いた動画である。それを大切に持ち歩き、どこかへ届けようとしているのだ。男はひたすら貧民街をうろついている。
それを見ているだけで、ドキドキとさせられる。なぜだろう。
セリフがない分、映像が持つ緊張感を際立つ感じがあるのだ。
あのアラブの春の頃、遠い日本から見ると人々は民主化という希望に燃えていたのかと思った。しかし、映画が映し出す現実はもっと過酷だ。そのザラザラとした感じに触れただけでとても胸に残る時間となった。
ここにもっとわかりにく解説があったので、気になった人は是非。
http://www.newsweekjapan.jp/kawakami/2016/12/post-27.php